「てこり」考

2019年9月20日 Studio TECOLI 開業

一応、2019年9月20日を開業の日と決めた。 なぜかというと、この日は「一粒万倍日 」「鬼宿日 」「神吉日 」「大安 」が重なる大変縁起のいい日なのだそうだ。 この日に何をするわけではないが、ベースとなるハードウェアの準備がほぼできあがって、運営を始める区切りとしようと考えている。 ちなみに Office TECOLI を設立した2019年4月11日は「天赦日 」と「寅の日 」が重なる日で、合わせるとほぼコンプリートな感じだ。

この日を機に、なぜ「てこり」なのかを書いてみる。

TECOLI.COM

tecoli.com ドメインは2013年に取得している。 大学卒業後22歳で就職、33歳で転職、44歳で半分フリーランスになり、次の55歳の節目を迎えようとしていた頃だ。 66歳より先のことはあまり期待できないので、55歳からの11年間が社会人としての最後の四半期になるだろう。 運がよければ、ダグラス・アダムスの銀河ヒッチハイクシリーズ のように、3部作の5作目みたいのがあるかもしれないけど。

最後の四半期は、原点であるプログラミングを中心とするものづくりに戻りたいと思った。 会社組織には属さず、自分のブランドで活動する。 そのために用意したのが tecoli.com だった。 そもそもは へんてこりんてこり だ。

てこ

へんてこりんりん に意味はあるまい。 探すと へんてこ に関する解説が、いくつか見つかる。

語源由来辞典

へんてこは「変(へん)」に接尾語「てこ」がついたもので、「へんちき」も同様に接尾語「ちき」がついたもの。 ともに近世から見られる言葉である。 「てこ」という接尾語はへんてこ以外に見かけないが、「ちき」には「高慢(こうまん)ちき」や「とんちき」などがある。 「ちき」は「的(てき)」が語源で、からかいやあざけりの気持ちを込めて言う時に、人の状態を表す語につく。 意味や音が似ていることから、へんてこの「てこ」も「的」と考えられる。

笑える国語辞典

 へんてことは、変わっている、クレージーであるという意味の「変(へん)」に接尾語「てこ」(「…のような状態」を意味する「的(てき)」が転じたものか)がついた言葉で、変であるとかクレージーであるという評価をすこしやわらげて、かわいげのある言い方にしたもの。「へんなやつがいる」と言われるとあまり近づきたくないが、「へんてこなやつがいる」と言われると、遠くからその行動をじっくり観察してみたい気になる。大阪方面では「へんちき」という言葉も用いられる。

てこ に由来しているのは間違いなさそうだ。 〜的 が表すのは特有の個性である。 落合博満 言うところの オレ流 だ。

梃子

てこ は、もちろん 梃子 でもある。

大辞林 第三版

  1. 棒の一点を支点とし,そこを中心として棒を回転できるようにしたもの。作用点や力点の位置をかえて重い物体を小さな力で動かしたり,小さな動きを大きな動きに変えたりするのに用いる。
  2. 目的を達するためのきっかけとなる手段や行動など。

梃子自身は何も消費せず、何も生み出さず、何も変わらない。 ただ、ある力を別の力へと変換するだけだ。 「てこり」が実現しようとするのも、人々の個性的な力を別の何かに変化させる梃子となる環境。 何に変えるかは自分たちで考えればいいし、そのきっかけになればいい。

梃子入れすることを「てこる」と呼ぶことにすれば、その名詞形が「てこり」だ。

てこり

てこりはブランドだ。 Google マップYahoo! 検索はてなブログ楽天トラベル などのように、ブランド名は先に来るのが一般的だが、てこりは元々接尾辞なので後に付ける。 もし蕎麦屋を出すなら てこり蕎麦 ではなく 蕎麦てこり だ。 ドメインは soba.tecoli.com となり名称と一致する。

この時点で、元々 〜的 を表し、それ自体には意味のなかった てこり が個性を持ち始め、〜 てこりてこり的 〜 を表すようになる。 てこり的 というのは考えてみればへんてこな話であり、捨てたはずの へん がここで復活する。

ブランドではないが、日本で人物を形容する場合には前に修飾する言葉を付けるのが一般的だ。 オオカミ少年ケンプロゴルファー猿ゲームセンターあらしサラリーマン金太郎 など、文字通り枚挙にいとまがない。 きわめつけは 課長 島耕作 だろう。 部長になろうが社長になろうが島耕作というブランドは不変なのだ。

なんとなくだが、後置型のブランドは日本に古来からあった文化ではないかと感じている。 てこり は、そのような使い方ができる言葉を選んだ結果でもある。 ちなみに「八百長」は「八百屋の長兵衛」が語源だそうだ。

手繰り

てこりは「手繰り」でもある。 一般には「たぐり」「てぐり」と読む。

大辞林 第三版

  1. 手で繰ること。たぐり寄せること。
  2. 手から手に物を受け渡して運ぶこと。
  3. 工夫して都合をつけること。やり繰り。

工夫して都合をつけること、つまり hack だ。

自らの手で引き寄せ、ハックし、受け継ぐ、それが「手繰り」のココロだ。

TECOLI

アルファベットの TECOLI は、

TECOLI - Exuberant Cultural and Outdoor Life Innovation

映像、音楽をはじめとする芸能や文化
自転車やトレイルランニング等のスポーツ系野外アクティビティ
それらを通じて生活あるいは人生に軒昂たる変革をもたらすこと

の略としている。 もちろん後付けだ。 いわゆる再帰的頭字語 になっている。 GNU は GNU’s Not UNIX!、PHP は PHP: Hypertext Processor の略という具合だ。

Exuberant という聞きなれない単語は、ロングマン現代英英辞典で happy and full of energy and excitement と説明されているように、非常に素晴らしい言葉だが、綴りも発音も難しいのが難点。 他にいい言葉がみつかったら変えるかもしれない。

アルファベットの TECOLI の中には Technology (技術)、 Ecology (自然)、 Collaboration (協働)、 Colleague (仲間) などが隠れている。 それらの Olio (ごた混ぜ) が TECOLI でもある。 Technology Oriented の気持ちもあるのだが、じゃあ R にしろと言われると嫌なのであまり言わない。

徐々に具体的な活動を開始していこうと思いますので、お引き立てのほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。